よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

犬を飼い始める時の注意点


  • 番犬として庭で柴犬を飼おうと考えています。私は強くて番犬に適している雄を選びたいのですが、家族(妻と二人の娘)は大人しいし将来子犬が欲しくなるかもしれないという理由で雌を望んでいます。どちらにすべきかアドバイスをお願いします?


    犬を面倒みていくうえで性別による違いは結構大きいと思いますから、飼い始める前に雄雌どちらにするか慎重に考えてみることはとても良い事だと思います。
    まず、柴犬という犬種について私の経験に基づいて説明します。飼い主さんの家族にはなつき易いが、それ以外の人に対しては警戒心が強く聴覚や嗅覚が鋭いので番犬に必要な要素は備えていると思います。但し、来訪者や侵入者だけではなくて単に家の前を通りかかった人や乗り物にも吼えてしまって相手に不快感を与えたり、その鳴き声が飼い主さんやご近所の人にとって耳障りになるかもしれません。(犬種図鑑等では、柴犬は性格は我慢強く無駄吠えの殆ど無い犬として紹介されていたりしますが、我慢強くて無駄吠えがの少ない柴犬を育てるには相当に厳しい訓練が必要だと私は思います)短毛種ですからカットは不要ですが、ブラッシングは習慣づけた方がよいでしょう。活動的ですから、ストレスがたまらない様に毎日の適度な散歩が必要だと思います。
    さて、質問の本題に入りますが、まず人間の場合で考えてみると幼稚園児位の年齢なら、一般的に男の子の方が腕白で利かん気が強く女の子の方が大人しくて素直に言う事をきき易い傾向があるのではないでしょうか。犬の場合も、柴犬に限らず殆どの種類で同様の傾向があると思います。
    ですから、一般的な躾け(咬み癖、無駄吠え、排泄等の習慣)について考えればメスの方がどちらかと言えば簡単で飼い易いと思います。柴犬という種類は、躾けのあまり易しい犬種とは思えませんから、私の個人的な意見ですがメスをおすすめします。番犬として考えた場合も、メスの方が性格が穏やかである場合が多いですから、かえって番犬としては適しているのではないかと思います。
    将来、子供が欲しくなった時メスは割りと簡単にお婿さんが見つかりますが、オスが花嫁さんを見つけることはかなり難しいのが現実です。子供が欲しくなる可能性があるのなら、尚更メスを選ばれるほうが得策かもしれません。
    以上申し上げた事は、あくまでも私の経験に基づく、個人的な見解でありますから、あくまでも参考にして頂くにとどめてください。飼い主さんのご家族で十分に話し合われた上で納得されてから飼い始めて頂く事が、犬にとっても飼い主さんのご家族にとっても一番幸せな結果につながると思います。


  • ミニチュアダックスを飼いたいので、ペットショップを何軒か回って探しています。どうして、同じ種類で同じ位の年齢なのに価格がかなり異なるのでしょう?


    子犬の価格について考える前に電化製品の価格についてすこし考えてみましょう。全く同じ商品でも店によって異なる価格がつくことはよくありますね。それはその商品の人気や注目度、或いは仕入れ価格や在庫数、他の商品との兼ね合い等で店が独自に価格を決めるからでしょう。同じ店でも一週間後に同タイプの新製品が発売されれば旧タイプの商品の注目度はガクンと下がるでしょうし新製品を在庫する為にも旧製品は少しでも早く売りたいので価格はドンと下がる場合が多いでしょう。全く同じ商品が販売店によってそして同じ店でも時期や条件によって価格は大きく変化します。

    子犬の価格については勿論専門外ですからあまり細かい事は知りませんが、わかる範囲でお答えしておきます。電化製品と違って子犬の場合全く同じ子犬が複数存在する事はありません。(どこかにクローン子犬が存在するかもしれませんが、ペットとして販売されている事はないと思います)同時に生まれた兄弟なら年齢も両親から受け継いだ資質も同じはずですが、厳密に言うと性別や体格、顔立ち、毛色や模様の具合等によって生まれたばかりの段階で既に価格が異なる場合が多いそうです。
    同じ両親から生まれた子犬でも、母親の年齢や何度目の出産か、同時に何匹を出産したか、等の条件によって当然子犬の価格は違ってくるそうです。
    ですから、親が異なればその血統の違いによって、子犬の価格の違いは更に大きくなっても不思議ではないのかもしれません。
    そして、同一の子犬の価格もその時期によって変化するそうです。生後6週齢位から3ヶ月位までがピークで、その時期を過ぎると子犬としての商品価値は低下するのだそうです。容貌の愛らしさやあどけない仕草はやはり時間の経過とともに大人びて失われていくのかもしれません。ペットを求めてこられる方はどうしてもより小さくて幼い動物を選ばれがちなのだそうですから、ペットショップはあくまで子犬を商品としてみますから売れ易ければ高い価格売れ難くなれば安い価格をつけるのはしょうがないと思います。
    そして、ペットショップによって少しでも安く売ろうと考えるか、高く売ろうと考えるかによっても価格は違ってくると思います。
    以上の様な諸事情によって同じ種類の同じ位の年齢の似たような顔をした子犬の価格に差が生じるのだと思います。ある程度信頼できるペットショップをみつけましょう。インターネットなどを利用して、その犬種の子犬の価格相場をある程度勉強しておいて、そのショップの価格が相場と違いがあれば何故高いのか若しくは何故安いのか説明してもらいましょう。その説明に自分なりに納得できればそこで購入されればいいのではないでしょうか。


  • コーギー(生後45日)をペットショップから購入しましたが、我家に来た日から下痢が続き、ショップに相談すると環境に馴染むまで様子をみるように言われました。二三日たっても良くならないので、近所の動物病院で診察を受けると、栄養状態が非常に悪いので、ショップに返す事を勧められました。ショップに相談すると、動物の場合はクーリングオフ出来ないと断られました。何か良い解決策はありませんか?


    ペットショップと飼い主さんの間でよく起こるトラブルの一つです。私は法律の専門家ではありませんので、確実な事は弁護士さんに相談された方がよいと思いますが、私の経験した事から申し上げると、法律的には動物も一般の商品と同じ扱いであるので、購入して二週間以内なら動物をショップに返して、全額返金してもらえるはずです。
    ペットショップによっては、この様なトラブルが頻発しているからかもしれませんが、購入するときに「飼い主の事情で返品はしない」と言った内容の書類に署名捺印を求められる事もあるそうです。もし、その様な書類に署名捺印していたとしても、片方に一方的に不利な書類は無効であるケースもあるそうなので、諦めないで弁護士さんに相談して適切な対処をしてください。
    もし、子犬が重篤な状態になったり死亡した場合、それから一定の期間を過ぎてしまった場合には交渉が難しくなるかもしれませんから、動物を返そうと考えられたら出来るだけスムーズに行動してください。
    動物を返す方法がどうしても難しそうなら、お宅の環境に適応しやすそうな別の子犬と交換してもらう事を交渉してみるのも現実的な解決方法かもしれません。但し、飼い主さんと子犬の縁や飼い主さんとショップの相性というものは不思議な物で、一度上手くいかないと、二匹目でもやはり何かの不都合が生じることも少なくありませんから、二匹目を探すときは一匹目以上に慎重に子犬を選びましょう。


  • 柴犬を購入しようと思ってペットショップを探して回っていたら、二軒のショップで生後50日位の子犬を見つけて同じ位気に入ったので迷っています。片方はワクチン接種済み、もう一方は未接種です。ワクチン済みの子犬を扱っているショップの方が信頼できると思いますが、何か選ぶためのポイントがあれば教えてください。


    一般の方が、ペットショップで子犬を購入しようとした時、ワクチンを接種済みの子犬の方が、未接種の子犬より安心できると考えられるのは仕方のないことかもしれません。子犬の場合大切な事は、ペットショップで販売されている時にワクチン済みか否かではなくて接種するべき時期に接種してあるかどうかです。子犬のワクチン接種時期としては、生後60日目と90日目が理想的であると言われています。60日目に一回目の接種をする理由は、子犬が産まれて初めて飲む母乳(初乳)によって母犬から貰い受けた免疫力が生後50~60日で消失すると言われています。従って、生後60日頃が免疫力を持たない状態で一番幼くて心配な時期であるので接種が必要と考えられます。但し、接種時期は早ければ早いほど良いわけではありません。例えば生後40~50日目に接種しても母犬から貰った免疫が消失する時にワクチンによって獲得できるはずの免疫も一緒に消失してしまうからです。
    ご相談頂いた子犬は生後50日位ですから、今申し上げたように既に接種してあるワクチンの実質的な効果は殆ど期待できませんし、幼い子犬に余分なストレスをかけていると言ってもよいでしょう。
    ペットショップの方は、子犬を扱うプロですから、恐らく時期外れのワクチンが無駄である事はご存知だと思います。無駄であってもワクチンが済んでいる事を強調する方が何も御存知ない飼い主さんには売り易いから接種しておられるのではないでしょうか。勿論、殆ど効果の期待できないワクチンの接種料も価格に含まれているはずです。
    以上の事から、ワクチン済である事で、そのショップを信頼できると考えるのは不適切だと思います。逆に、もう一方のショップが、適切な時期に接種する為に現在はワクチンを接種していないのかどうかは分かりませんから、それとなく尋ねてみられたらよいかもしれません。
    いずれにしても、子犬を飼い始めたら大切なのは信頼できるペットショップを見つけることよりも、信頼できるかかりつけの動物病院を探して、小まめに相談にのってもらう事ではないかと思います。
    (補足)最初だけ90日目にもう一度ワクチンを接種する理由は二重免疫効果といって、まだ免疫効果の高い時期にワクチンを追加すると、更に高い免疫を継続できるからです。以前にQ&Aで「ワクチン」を取り上げた時に詳しく説明してありますので、そちらをご覧ください。


  • 気に入った子犬が見つかったので購入しようとしたら、そのショップではペット保険に加入する事が条件だと言われました。保険は慎重に条件を調べて選びたいので断ると販売できないと言われました。納得できなくても保険に加入すべきか、他のショップをあたるべきか迷っているのでアドバイスをお願いします。


    ペットの保険に加入する事に前向きの考えをお持ちであるのならば、まずそのショップから勧められている保険を他社の保険と比較しながらよく調べて検討されればよいでしょう。その保険に納得できれば問題はないでしょうし、他にもっと魅力的な保険が見つかれば、その事情を説明して理解を求められたらどうでしょう。
    それでも、受け入れられなければ、方法は二つあると思います。ショップが保険の加入を条件にしているのは、勿論一件契約が成立するごとに某かの利益があがるからでしょう。そして一件でも加入せずに販売する前例を作ると今後同様の事が繰り返されるかもしれないし既に販売した飼い主さんからクレームがつく事も心配されます。
    そんなショップに納得が出来ないのなら、他の子犬を探すしかないでしょう。どっちみちそんな儲ける事ばかりを優先するショップが扱っている子犬を購入しても、ろくな事はないと気持ちを切り替えられればよいと思います。
    もう一つの方法は、黙ってショップの条件をのんで子犬を購入する事です。保険は一年毎位で更新するタイプでしょうから、すぐに解約する事も出来るでしょうが勿体無いのでおすすめしません。その一年の間にじっくりと納得の出来る保険をみつけておいて一年後から自分の選んだ保険に加入されればいいでしょう。

    ここからは、私の個人的な見解を申し上げますので、ほんの一寸した参考にでもして頂ければ幸いです。私は普通に健康な犬を飼われているのなら、ペット保険の類は、飼い主さんにとってあまりメリットがあるようにはおもえません。数社のペット保険を比較検討して、実際に当院に来院されている犬でシュミレーションしてみましたが、掛け金と戻ってくる金額、諸々の手続きの煩わしさ等を考え合わせたら、少なくとも私自身が加入したいと考えられるような保険は残念ながらありませんでした。ですから、当院へ来られている飼い主さんからペット保険についてのご相談を頂いた場合、決して加入を積極的にはおすすめしません。
    もし何らかの病気にかかっていて長期間にわたって高額の費用のかかる治療を継続する必要のある犬の飼い主さんなら、保険に加入するメリットはあるかもしれません。ただし、飼い主さんにとってメリットがあるという事は、保険会社のサイドからみればデメリットがあるわけで、その様な場合は保険会社が契約を拒否するかもしれません。


  • 子犬を購入したペットショップから、「成長期だからカルシウムとビタミンのサプリメントが必要です。」と言われてフードとともに与えていました。所が、ワクチン接種に行った病院で「サプリメントは必要ない。」と言われました。どちらの指示に従うべきでしょう?


    一般論として、健康である子犬を育てる場合、必要な栄養素がバランスよく含まれていてそこそこの嗜好性も兼ね備えているフードを適切な量と回数で与えていれば、特にサプリメントの類を与える必要はないと思います。
    もし、その子犬に健康面で何らかの問題があるのなら、三大栄養素やビタミン、ミネラルのうちの幾つかを食餌に加えて補う必要があるのかもしれません。ただ、健康上問題がある子犬を飼い主さんに販売しているのならそのペットショップ自体に大いに問題があるように思います。
    もし、子犬は健康であるがすすめているドッグフードの栄養バランスが悪い為に、サプリメントで補わなければならないのであれば、その様なフードを与える事をすすめるペットショップにはやはり問題があるのではないでしょうか。
    もし、子犬が健康でありドッグフードの栄養バランスも取れているのに、不必要なサプリメントをすすめているのであれば、やっぱりそのペットショップに問題があるように思います。
    食餌のバランスを考える時に特に成長期であったりすると不足することは誰もが心配しますが、逆に摂取し過ぎて過剰症の状態になることも健康上望ましい事ではありません。極端な話をすれば、ビタミンCには致死量がないわけではありません。勿論朝から晩までイチゴやキウイフルーツを食べ続けても摂取出来ないような途方もなく多い量ですから、現実的には心配ありませんが、大切な事はバランスよく適量を摂取する事です。
    私達獣医師は、どうしても動物の健康の事を考えると理想論ばかりを並べ立てる傾向がある事は否定しません。ペットショップさんにはペットショップさんの都合があると思いますから、例えば利益率のよい商品を飼い主さんにすすめる事があるでしょうし、在庫を大量に抱えた商品や期限切れが近い商品を積極的に売り出す事もあって当然だと思います。
    そして、飼い主さんの立場から考えても犬にかけられるお金には勿論限りがあるでしょうから、健康によいとすすめられたフードよりも安売りをしているフードを選ばれる事があっても当たり前だと思います。
    ただ、人間にしても犬や猫にしても、健康は日頃の生活習慣(食事を含む)によって形成されますから、長い目で見ると少々高くても健康の事を考えて作られているフードを選択しておいた方が、病気になってその治療にかかる費用を考えたら結局は安上がりである可能性は強いと思います。
    以上これまでに申し上げた事を参考にしていただいて、飼い主さん自身が納得される指示に従われればよいのではないでしょうか。


  • 子供達が独立して夫婦二人暮しになったら急に寂しくなったので昔から好きだったゴールデンを飼いたいと思っています。なるべく安価で優秀な子犬を購入したいのですが、上手な子犬の購入方法を御存知なら教えてください?


    ある程度ご年配で二人暮しのご夫婦にゴールデンを飼い始めたいと相談されたら、正直申し上げて答えに困ってしまいます。ゴールデンは、きちんと躾けをすれば非常に賢いので大型犬の中では飼い易い犬種の一つでしょう。但し、凄く活動的で遊び好きな性格ですから、十分な散歩や遊んであげる時間が必要だと思います。そして毎日とはいわなくても定期的なブラッシングも必要でしょう。ですから犬の面倒をみる為にたっぷりの時間とかなりの体力が飼い主さんに要求されると思います。
    ご質問頂いたお二人とも年齢の割にはお元気でおられるようですが、大型犬の世話をするのは現在でも体力的にかなり大変だと思います。犬を一旦飼い始めたら十年以上先まで面倒をみる事を考える事が必要でしょう。
    十年後まで大型犬をしっかりと面倒をみられる自信があるのでしたら、何も申し上げる事はありませんが不安があるのなら犬の種類について再考してください。小型犬ならご年配の方でもずっと面倒をみてあげられると思います。

    さて、犬を入手する方法としては、種類や年齢を問わなければ、各都道府県市町村に設けられている動物愛護センター、動物管理指導所、動物一時預かり所、家庭動物相談所等の名称の役所に問い合わせてみてください。運がよければ無料(登録手数料等がかかる場合もある)で割りと簡単に可愛い犬との運命的な出会いがあるかもしれません。他に民間の動物愛護団体でも里親探しをしていますから、インターネットで検索すると色んな切っ掛けが見つかるでしょう。
    但し一旦飼い始めたら予想外に躾けが上手く出来なかったり、家庭の事情などで犬を飼い辛くなったとしても、その犬が天寿を全うするまで面倒をみる覚悟が必要だと思います。特にこの様な施設にいる犬は既に少なくとも一度は飼い主さんとの辛い別れを経験している訳ですから、尚更大切に扱って最後まで面倒をみてあげて欲しいと思います。

    純血種の子犬を入手しようと考えたら、一番オーソドックスな方法は、ペットショップからの購入だと思います。勉強するつもりで少なくとも3~4件は見て回りましょう。まず、店の床やペットの展示してある部屋の清潔さをチェックしましょう。そして子犬の健康状態を解かる範囲で結構ですからチェックしてみましょう。元気がよいか、食欲はあるか、クシャミや咳、涎や目ヤニ等はないか便や尿をしていれば異常がないか、など専門的な知識がなくても注意深く観察しているとある程度分かる様になると思います。店員さんに食事の回数やワクチン接種が必要な時期、展示されている動物の気になる点などを質問してみましょう。店員さんが自信を持って丁寧に分かりやすく説明してくれたら、ある程度信用できる安心なお店だと思います。年配の二人暮しの夫婦がゴールデンを飼う事を希望していると相談してみるのもよいかもしれません。もし、無条件に大型犬を勧める様なら商売本位であまり信用できないのかもしれません。現在は数kgの子犬がほんの数ヶ月先には30kg前後にまで成長して、散歩や面倒をみる事にかなりの体力を必要とすることを説明してくれたり更に五年先十年先を見通して心配をしてくれるようなお店なら良心的で信用できると思います。ある程度信用できるお店を見つけたら、十分に相談に乗ってもらって種類を考えて選ばれればよいと思います。
    もし、ブリーダー(犬を繁殖させて販売している人)さんと直接交渉できるなら、それが最良の購入方法だと思います。私の実家で飼っている犬はパドという無料情報誌で「シーズーの子犬お譲りします」という広告をみて私がブリーダーさんのお宅まで訪ねていって子犬を選びました。同様の情報誌や今ならインターネットで個人的に犬を繁殖、販売している人の情報は割と簡単に入手できると思います。
    ブリーダーさんから直接購入する事のメリットは、母親若しくは両親を確認できる事、数匹の兄弟から自分の好みに会う子を選択できる事、価格がある程度交渉しだいで安くなるかもしれない事等があると思います。まず、人間もそうですがある程度親を見ればその子犬の将来を予想できます。体格や顔つき、スタイル等は勿論育て方にもよりますが、親から譲り受ける部分が大きいので大いに参考にされるとよいでしょう。次に、兄弟が何匹かいればその中から比較検討して選べます。ペットショップなどでは殆ど選択する余地はないでしょう。但し見た目の可愛らしさや元気のよさで選ばれることはあまりおすすめしません。特に何かの目的で色んな事を覚えこませるのではなくて、ペットとして飼うのであれば、兄弟の中で一番のんびりとした子犬がおすすめです。少し離れた所から声をかけてみて一番最後に反応するようなちょっと鈍間な位の子を選ぶとよいと思います。その様な子なら咬み癖や無駄吠えの心配が少ないし、少し覚えるのに時間がかかっても必要最低限の食事や排泄等のルールはきちんと教えれば覚えてくれるでしょう。
    もし犬を飼い始めるまでに時間的な余裕があるのなら近所のお知り合いや親戚等で犬が生まれた時勉強の為に見に行ってみるのもよいと思います。そして、一番素早く反応する子犬と一番のんびりした子犬を見極めておいて出来たら半年後くらいの様子を観察してみればどちらが飼い易い子犬だったか一目瞭然だと思います。
    最後の価格交渉についてはその子犬に対する愛情が相手に伝われば案外値引きしてもらえるかもしれませんから頑張ってみてください。


  • 我家は夫婦(共稼ぎ)と息子(8歳)、娘(5歳)の四人家族です。家を新築したので、息子の希望で小型犬を飼い始めようと思いますが、犬を飼った経験が無いので どんな種類が飼い易いのか アドバイスをお願いします。


    犬は、飼われる環境に対して馴染みやすい犬種や逆に適応しにくそうな犬種があると思います。一時的な流行に影響されたり、ペットショップで衝動的に飼い始める事を決意して、後悔されている飼い主さんは 当院に来院される患者さんにも少なからずおられます。そんな事になれば 飼われる犬にとっても、面倒をみるご家族にとっても不幸なことだと思います。ですから飼い主さんの家の環境になるべく適応しやすい犬種を慎重に選択されることは賢明な事だと思います。犬種図鑑等の犬種の特徴を紹介した本をみると特殊な犬種を除いては、大半の犬種が飼う事が難しくないように紹介されている様に感じますが、正直に申し上げて、その様な表現はあまり鵜呑みにされない方が賢明だと思います。当たり前の事ですが、ペットショップの店員さんに質問されても、「この犬種はお宅の家庭環境には向いていません」と言った否定的な解答は万に一つも無いと思います。ですから、ご相談頂いたご家庭に私が向いていると思われる犬種と、あまり向いていないように思われる犬種を具体的に幾つかあげてみましょう。(あくまでも、私の経験に基づく個人的な見解ですから、単なる参考にしてください)初めて犬を飼われる場合、躾け(トイレ、無駄吠え、咬み癖など)の難しくない犬種が適していると思います。具体的には、シーズー、ミニチュアダックス、ミニチュア若しくはトイプードル等は如何でしょう。これらの種類は、勿論個体差はありますが、性格がおおらかでのんびりしている子が多いので新しい環境に馴染みやすく、新しい飼い主さんの決めたルールを割りと素直に受け入れてくれるケースが多いように思います。勿論、飼い主さんのご家族全員が犬の躾けについて勉強して頂いて、全員で協力して躾けに取り組んで頂く事が 必要条件です。これらの犬種なら、ご両親が共稼ぎでお忙しくても、息子さんが朝、夕の家の近所での10分前後の散歩は出来ると思います。息子さんの希望で犬を飼い始める訳ですから、お散歩は息子さんに任せられれば、飼い主としての自覚と責任感が生まれるでしょう。犬も大好きなお散歩に連れて行ってくれる息子さんに一番懐いてくれるでしょう。逆に、躾けが結構難しい犬種としては、チワワ、ポメラニアン等をあげておきます。これらの犬種は小型犬の中でも 特に体格が小さくて華奢ですから、自分達が小さくて弱いことを自覚しているのだと思います。その為に警戒心が必要以上に強くなりがちで、新しい環境に馴染んだり、飼い主さんの決めたルールを受け入れる事に時間がかかるケースが少なくないのかもしれません。飼い主さんサイドから考えると、小さくて華奢な体格を意識しすぎて どうしても躾けに厳しさを欠いて 甘やかしてしまいがちになり、結果的に躾けが上手く出来ないケースが多いのかもしれません。
    ここで、声を大にして申し上げておきますが、これらの犬種で きちんと躾けの出来ている賢い犬を私はたくさん知っています。只、躾けに苦労されている犬をそれ以上にたくさん知っていますので、初めて犬を飼われる方の場合、出来たら避けていただいた方が無難だと思って あえてあげさせて頂きました。私がこれらの犬種を嫌っているわけでも、けなしているわけでもない事だけは、理解しておいてください。どんな種類を選ばれるかは、ご家族で十分に話し合って、皆が納得できる種類に決められれば、それが正解です。その選択に決して間違いは無いと思います。只、どの様な犬種を選ばれようと、飼い主さんがいい方向に導いてあげる為に精一杯の努力をされる事を期待します。