よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

犬の脱毛


  • 7歳のポメラニアンを飼っていますが、昨年と今年の夏に犬の美容室で涼しくて快適だからとすすめられて 全身を短くカットしてもらいました所、秋になってもあまり毛が伸びてきません。大丈夫でしょうか?


    犬は毛の生え方、伸び方で 人間の頭髪のようにどんどん全身の毛が伸びる種類(プードル、シーズー、マルチーズ、ヨーキー、シュナウザー等)と 人間の眉毛のように一定の長さまでしか伸びず どんどん生え変わる種類(柴犬、ゴールデン、シェルティー、コーギー、ポメラニアン等)に分かれます。
    前者のタイプは、毛をかなり短く刈り込んでも皮膚にそれ程ダメージを受けるケースは少ないようです。ところが、後者のタイプは短く刈り込むと 紫外線などにより皮膚特に毛根がダメージを受けて、生えてくる毛が非常に短く細くなったり 張りやツヤが無くなったり、色素が脱落して白髪のようになったりする場合があります。更に数年のうちにご質問にあるように あまり生えてこなくなる場合も少なからずあるようです。
    飼い主さんは、夏場に涼しそうで ブラッシング等の手間も省けるので喜ばれるようですし、美容室さんは鋏で全体をカットするより バリカンをあて そろえるだけで簡単に短時間で仕上がるので すすめられる場合も多いようですが、犬の皮膚の健康を考えると決しておすすめできるスタイルではないように思います。
    ご質問の犬の皮膚の状態をみてみないと解りませんが、薬剤や皮膚のマッサージ等で回復する場合もありますから、諦めずに病院で診察を受け 治療をしてあげてください。


  • 9歳のゴールデン(雌)が今年の春頃に 首筋から背中にかけて左右対称に脱毛が始まり だんだん広がっています。全く痒がらず かさぶたも無く 皮膚はきれいな状態なので、近所の病院では様子をみるよう言われ 何も治療していません。夏頃から、大好きだった散歩も嫌がるようになり 昼寝ばかりしているのも心配です。何かアドバイスをお願いします。


    痒みを伴わない左右対称の脱毛の場合、内分泌機能の異常が原因かもしれません。元気が無くなり昼寝ばかりすることも考え合わせると甲状腺機能の低下による脱毛の可能性が高いように思いますし、そうであるなら甲状腺ホルモンを投与すれば2~3週間である程度効果がみられるかもしれません。
    一つの病気に対して、幾つかの病院で診察を受けると、同じ診断結果が出るかもしれないし 異なる場合もあると思います。そして同じ診断結果が出ても 病院によって治療方法が異なり その効果に違いが出るケースは結構あると思います。
    ですから、かかりつけの病院で診察を受けても 病状があまり改善しない状態が続くようであれば、他の病院にとりあえず電話で相談されたら良いと思います。きちんと話を聞いてくれて、丁寧にアドバイスしてくれる病院であれば一度診察を受けてみられることをおすすめします。(今回は メールでご質問頂きましたが、細かいことが確認できないと なかなか具体的なアドバイスは難しいので、電話をおすすめします)
    但し、病気特に皮膚病は、治療の効果が目に見えて現われるのに時間がかかる場合が多いので、ある程度粘り強く治療を継続してください。すぐに諦めて病院を転々とするのは時間と費用の無駄になる事が多いと思います。


  • 5歳の雑種犬が一年位前から手足の先端や顔 特に目と耳の周囲にかさぶたが出来て非常に痒がり 舐めたり噛んだり掻き毟ったりして、脱毛が始まりどんどん広がっています。近所の動物病院で半年ほど前に診てもらって 塗り薬と飲み薬を使っていますが あまり効果は無いように思います。何か対処法はありませんか?

    かさぶたが出来て非常に痒がり脱毛が広がっていること、その部位が四肢端や目耳の周囲から始まっている事から推察すると、疥癬ダニによる皮膚炎が疑われます。患部の皮膚を少し削り取って顕微鏡でそのダニを確認できれば確定診断できると思います。もし、疥癬症であればダニを殺す薬剤の定期的投与と皮膚の状態を改善するための抗生剤や消炎剤の内服により約一ヶ月で治癒する場合が多いと思います。ですから、病院で皮膚のかきとり検査を受けられる事をおすすめします。


  • 生後6ヶ月の柴犬(雌)を飼っていますが 脇腹から背中にかけて脱毛が始まりました。以前飼っていた犬も若い頃から全身性の脱毛と痒みで しばらく動物病院へ通って 多少は症状が軽くなった時期もありましたが 結局は完治せず、凄く辛くて可哀そうな日々を過ごしました。この子も同じような人生をおくらざるを得ないのでしょうか?


    犬の脱毛は皮膚病の症状の一つで 犬の種類や年齢 性別、発症する部位や季節等によって 起こりやすさや治り難さが異なる場合がありますし、その原因は非常に多岐にわたります。代表的な脱毛の原因をいくつかあげてみましょう。
    1)寄生虫(ノミやダニによる外部寄生、フィラリアや鈎虫による内部寄生)
    2)細菌やカビの感染
    3)必要な栄養素の不足(亜鉛欠乏など)
    4)内分泌機能の異常(性ホルモンの過剰や不足、甲状腺機能の低下、副腎皮質機能の上昇など)
    5)食物、金属、繊維などに対するアレルギー(アトピー)
    6)精神的或いは肉体的なストレス
    他にもまだいろいろありますし、いくつかの原因が同時に又は継時的に関与して脱毛が起こる場合も少なくありません。そして、原因は全く異なるのに症状は非常に類似しているケースも多いようです。ですから、皮膚病の診断は原因が間単に特定できる場合もありますが、 幾つかの原因を想定して可能性の高いものから治療しながら診断していく場合も少なくありません。即ち 診断がついて治療効果があがるまでにかなりの時間と労力を要する場合も多いわけです。特に脱毛の場合、皮膚が正常に戻ってから 実際に毛が生え始めるのを確認できるまでには更に時間がかかります。ご質問頂いた方の犬について 詳しい事が解りませんので具体的なことはお答えできませんが、この様な事情をよく理解していただいて、粘り強く治療を継続されることによりきっと解決できるとおもいます。勿論、体質的な病気で 完治を期待できない場合もありますが、それでも生活環境や食餌を気をつけること等により、少しでも快適に暮らしていける方法は必ず見つかると思いますので、諦めずに頑張ってください。