よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

犬の痴呆症(ボケ)


  • 犬のボケは予防できますか?


    ボケは一種の老化現象ですから、完全に防ぐことは不可能だと思いますが、上記の症状に一つでも思い当たる項目がある飼い主さんは、その進行を遅くする方法がありますので、試してみられたらいかがかと思います。犬のボケは、平穏な生活の中で 犬が自分だけの世界に閉じこもってしまう事によって、どんどん進行してしまいますから、よい意味での刺激的な生活をおくらせてあげましょう。具体的には、特別なことではなくて 毎日少しの時間でいいですから 飼い主さんが顔を見ながら話しかけて 対話の時間を持ちましょう。言葉は通じなくても長年一緒に暮らしてきたパートナーですから、心の交流はきっとできるでしょう。そして、これも少しの時間 少しの距離でいいですから毎日お散歩に行きましょう。高齢になると心臓などが悪くて運動を制限されている場合もあると思いますが、気分転換の為ですから負担のかからないように涼しい時間帯にのんびりと出かけましょう。何か興味を引くようなものと出会えるかもしれませんから、時々コースを変えてみてもいいかもしれません。もし他の犬と出会って 相性が悪くなさそうなら、出来るだけ交流の時間を持ちましょう。さらに効果的だと思います。勿論、相性が悪そうなら以降はなるべく出会わないように気をつけましょう。
    以上、おそらく飼い主さんが犬を飼い始めた頃 ごく自然にされていた事ばかりだと思います。10年以上も一緒に暮らしていると、飼い主さんは犬のいる生活に慣れてしまって、どうしても他の新しい興味あることに意識が向いてしまいがちになるかもしれません。でも、飼われている犬にとっては 飼い主さんが全てなのです。ですから、飼い主さんから疎外感を感じると どうしても自分だけの世界に引きこもりがちになって、ボケが始まります。そして このようの時期を迎えた犬に残された寿命はひょっとしたら数ヶ月 長くとも ほんの数年しかありません。ですから、もう一度飼い始めた頃のことを思い出して犬と接してあげてください。そうすれば、きっとあまりボケることなく寿命をまっとう出来るのではないかと思います。


  • 家の老犬(柴犬、避妊済みの雌、16歳)は以前から白内障や歩行障害を起こしていましたが、最近は夜鳴きや徘徊が始まりました。かかりつけの病院では 「ボケは老化現象だから治療法がありません。安楽死を希望されるなら対応します。」と言われました。 近所迷惑ですし、とても可哀想ですが 安楽死等考えたくもありません。何か対処法はありませんか?


    「安楽死」については、万策が尽きた後の選択肢ではあるかも知れませんが、現時点で飼い主さんが考えたくないのは当然だと思います。さて、ご相談の件ですが、まず飼い主さんがその犬との対話の時間を出来るだけ取って下さい。出来る範囲で結構ですから、犬に話しかけ犬の対応に反応してあげましょう。犬がボケるのは自分だけの世界に閉じこもってしまう為に 時間や場所の感覚が現実とずれてしまい起こります。ですから、可能な限り飼い主さんと心の交流が出来る時間を多く持てば、現実の世界に戻ってきてくれると思います。更に散歩に出かけられると外部の世界の刺激がよい作用をもたらすでしょう。歩行障害があるのなら 自転車の籠や乳母車等に乗せるのはどうでしょうか?どうしても嫌がるなら仕方がありませんが、結構機嫌よく 運動の為ではなくて気分転換の為の散歩に出かける犬はいますよ。それから、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を主成分とするサプリメントを試してみられるといいと思います。当院でも十数匹に投与して約半数の犬でポケの症状の改善が認められました。犬との対話、気分転換の散歩、サプリメントを紹介しましたが,何れも直ぐに目に見える効果が期待できるわけではありません。出来る範囲で結構ですから数週間から数ヶ月続けられればきっと何らかの効果が現われると思います。
    勿論年齢を考慮すればあと数ヶ月寿命が続く保障もありませんが、もしボケに対する対策の途中で効果のあがる前に 寿命が尽きたとしても その犬にとっては何もしてもらえずに放置されるもしくは安楽死されるよりは、最後まで充実した幸福な人生だったと考えてあげていいのではないでしょうか。


  • うちの犬は夜鳴きがひどいので 病院で診察を受けると 痴呆症と診断されて 鎮静剤をもらいましたが 殆ど効果がありませんでした。何か他に治療法はありませんか?


    犬の痴呆症では なかなか静止できなくて近所迷惑な夜鳴きが、いつでも どこにでもしてしまう排泄とともに 飼い主さんが現実的に一番お困りになる症状だと思います。夜鳴きをしずめるために、鎮静剤や麻酔剤の類を用いるのは一時的に効果がある場合もありますし、ご質問にあるように殆ど効果が無い場合も多いようです。何れしても、長期にわたって連用すれば肝臓などへの負担も大きく 副作用も心配されますからあまりおすすめできません。現在、当院では犬の痴呆症でお困りの方に 魚に含まれていて頭を活性化することで知られている不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を多く含有する補助食品を投与して頂いていますが、副作用の心配も無く ある程度の効果が得られていますので、もしよければ一度試してみてください。
    但し、上記でもお答えしましたが犬の痴呆症は飼い主さんと犬の気持ちがすれ違う事から始まり どんどん進行してしまう病気ですから、もう一度心が通い合うように努力していただくことが一番効果的な予防法であり 治療法でもあると思います。


  • 犬も 高齢になると痴呆症になるそうですが、何歳位から どのような症状が現われるのですか?

    犬の痴呆症は、人間の場合もそうですが 肉体的素因と生活環境の違いにより 始まる年齢も症状もかなり個体差があります。一般的に10才を過ぎれば、他の老化現象(筋肉の衰え、視力や聴力の低下、白髪等)と同様に少しずつ始まるものと思われます。
    具体的な症状としては次の5項目が代表的です。
    1)自分の名前や飼い主が認知できなくなり、トイレ等の生活習慣もくずれる
    2)大声で夜鳴きをするようになり、なかなか静止できない
    3)歩き方がとぼとぼと元気がなくなり、同じところをグルグル回る
    4)狭い所に入りたがり 頭から突っ込んで自分では出られなくなる
    5)食欲が増大するが、嘔吐や下痢はしない。そして体重が減少してくる