よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

犬の中毒


  • うちの犬は何でも直ぐに口に咥えて咬んでみる癖があるので、散歩中はすごく気をつけていますが、もし何かを舐めたり、飲み込んだりして中毒を起こした時には、どの様に対処すればよいでしょう?


    犬が何か異物を飲み込んだ場合、液体は30分以内、固体は3~4時間以内なら胃内に留まっている可能性が高いので、基本的には嘔吐させる事が、被害を少なくする為に必要な処置だと思います。ご家庭で嘔吐させる場合、塩水やオキシドールを用いますが、濃度や投与量を誤まると脱水症状等を起こす場合もありますので、飼い主さんだけの判断で実行されう事はお勧めしません。
    尚、異物の種類によっては、例えば洗剤や漂白剤、薬剤や化粧品の場合、嘔吐させると食道等が腐食されたりして危険な場合もありますから、とりあえずかかりつけの病、院に相談して、状況に応じた判断(その場で何らかの処置をするのか、自宅に連れ帰って嘔吐させるか、直ぐに病院へ連れて行くか等)をしましょう。
    最近は、インターネットや書籍等で勉強されて飼い主さんが驚くほど専門的な知識をお持ちだったりしますが、断片的であったり、勘違いされていたりする場合も少なくないようで、飼い主さんの独自の判断がかえって危険な状況を招く場合もあるようです。ですから、例えば、散歩中に異常が発生したら、その場で直ぐに携帯電話で信頼できるかかりつけの病院に連絡して、適切な指示を受けてから行動された方が懸命だと思います。
    ところで、犬が何でも咥えたり咬んだりする事を当然の様に表現されていますが、そのような行為は犬自身にとっても周囲にとっても、大変危険で悪い習慣ですから、改めるよう努力しましょう。基本的に犬が食べてよい物は、飼い主さんから決まった時間に決まった場所で与えらるフードだけであり、咥えてよい物は飼い主さんと遊ぶ時の咥えて遊ぶ為のおもちゃだけです。それ以外のものを咥えたり、咬んだり、飲み込んだりしようとしたら、厳しく叱りましょう。最近の躾についての書物や報道では、叱らずに褒める事ばかりを奨励していますが、悪い事をしたときには悪い事をしたことを犬自身に教える為には、出来るだけ恐い顔をして叱り、必要に応じて引っ叩きましょう。
    昨今は体罰に対して否定的な風潮が強いようですが、人間であれ、動物であれ教育するときにある程度の体罰は必要不可欠だと私は思います。親が自分の子供を引っ叩かなくなり、学校の先生も教え子を引っ叩けなくなってから、成人式にもまともに出席出来ないような輩が出現したとのではないでしょうか。犬の躾も同様で、その犬にとっては楽しいことでも、悪い行為であれば、それを辛抱することを繰り返し教えるべきです。悪い行為をしようとした時に、繰り返し中止させて、その行為が悪い事であり、辛抱しなければならない事を教えましょう。悪い行為をしようとしたら、恐い顔して怒り、場合によっては額の部分を叩きましょう。叩く行為は犬に苦痛を与える為ではなくて、飼い主さんが本気で怒っている事を伝える為の行為です。そして、辛抱できたときには笑顔で大げさに褒めましょう。犬も、人間ど同じで恐い顔で怒られるのは嫌だし、笑顔で褒めてもらえる事は嬉しいのです。言葉が通じないので人間同士よりも少し時間はかかりますが、飼い主さんの一生懸命な気持ちは必ず伝わりますから、頑張って悪い習慣を改めましょう。


  • 暖かくなると犬が散歩中に中毒を起こす事が多くなるそうですが、具体的には どの様な物が危険であり それに対してどの様に対応すれば良いでしょう?


    暖かくなると植物が芽吹きますから、中毒を起こすような植物に注意する必要があります。具体的には、キョウチクトウ、スズラン、レンゲ、ツツジ、ヒガンバナ、フクジュソウ、イチイ、イヌホウズキ、アセビ等の植物、朝顔やソテツ等の種、クロッカス、水仙、アマリリス等の球根等などで、案外身近に存在しています。それから、暖かくなると田畑や庭、花壇等に砒素系やフェノール系の除草剤や有機塩素系や有機リン系の殺虫剤が使用されますが、これらを舐めたり接触したりする事で中毒を起こす場合もあります。家の中でも、蚊取り線香やゴキブリ駆除に使うホウ酸団子で室内犬が運び込まれた事もありました。最近ではあまり使用されていないかもしれませんが、ワルファリン等の殺鼠剤による中毒で犬が死亡する事もありました。季節に無関係ですが、絵の具やペンキの特定の色には、鉛が含まれていて、それらを舐めたり塗られている看板をかじったりして、鉛による中毒を起こす場合もあります。家の中をよく見渡せば、例えば人間用の医薬品、化粧品、消臭剤、洗剤、タバコなど等口にすれば中毒を起こす品々に囲まれて生活しているようなものです。犬が食べてよいのは、飼い主さんから与えられたフードだけでそれ以外のものを舐めたり、咥えたり、咬んだり、飲み込んだりする事は全て悪い行為ですから、非常に難しいとは思いますが、それらの行為をしないように頑張って躾するしか、安心できる対応策はないと思います。


  • 犬は ネギ類により中毒を起こすそうですが、人間の食べ物で他にも 中毒の恐れのあるものがありますか?


    ネギの類(ネギ、ニラ、タマネギ等)による犬猫の中毒は、御存知の飼い主さんも多いようで、これらの食品をそのまま与える事は少ないようです。ところが、例えばハンバーグや餃子には刻んだタマネギやニラが含まれますし、すき焼きの残り汁等には、ねぎの中毒を起こす成分が溶け出していますから、中毒を起こしますが、うっかりと与えられ場合がありますから、注意して下さい。
    中毒という病名であり嘔吐や下痢を起こす場合もありますがますが、主な症状は、アリルプロピルジスルファイドと言う成分が 赤血球が溶かすために起こる、貧血や黄疸、赤色尿等です。一度ネギ類を摂食しただけでは、無症状の場合もありますが、繰り返す事により貧血が進行して、場合によっては生命に関わる事もありますから気をつけましょう。
    ネギ類の他に、人間の食べ物で犬が口にする可能性の高い食品としては、チョコレートがあります。人間同様に犬も甘い物は美味しく感じますし、好ましい香りの香料が使われていますから、うっかりテーブルの上に置いておいたり 鞄の中にしまっておいても、犬の口の届く範囲なら 気付かぬうちに食べてしまい、中毒を起こす事がありますから、十分に注意が必要です。テオブロミンと言う成分によって、興奮や発熱、赤色尿や痙攣等を起こし、摂食量が多ければ昏睡状態におちいり 死に至る場合もあります。
    他にも中毒を起こす食品はありますが、根本的に犬に人間の食べ物を与える事は犬の健康にとって悪い事なので、細かい説明は省略させて頂きます。
    私は飼い主さんに、犬の食餌の話しをする時、必ず申し上げる事があります。

    「ドッグフードには安心しておすすめ出来る物から、与えない方がいいと思われるフードまで色々ありますが、そんな健康面で最も不適当と判断されるようなドッグフードでも、人間の食べ物よりはずっと犬の健康にとって望ましいと思います」
    つまり、中毒を起こすか否かに関わらず、犬には極力 人間の食べ物を与えないで頂きたいわけです。人間の食べ物の全てが、犬にとって有害だと申し上げている訳ではありません。例えば、牛乳は人間にとって栄養価の高い優れた食品であり、下痢さえ起こさなければ犬にとっても素晴らしい食品です。では、「下痢を起こさなければ、犬に牛乳を与えてよいの?」と問われたら、やはり答えは「与えない方がよい。」となります。  理由は、健康な時は問題ありませんが、例えば膀胱炎などの病気になった時には牛乳は非常に有害な食品となります。膀胱炎になると、尿の排泄が滞る為に、タンパク質の分解産物(アンモニア、尿素窒素、クレアチニン等の有害物質)が血液中に溜まり、進行すると尿毒症等の命に関わる病気になります。そんな時に人間なら頭で理解して牛乳の様なタンパク質に富む食品を辛抱出来るでしょう。けれども、犬の場合美味しい牛乳を止める事が難しくて治療に差し支える場合があるかもしれませんから、犬に牛乳を与える事はお勧め出来ない訳です。
    何も難しい事、手間隙や高額の費用のかかることを提案している訳ではなくて、その犬の年齢や体調に適したドッグフードを選んで、規則正しく与えていただきたいだけですから、是非理解し、納得されたうえで 実行される事を期待いたします。