よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

涙と目ヤニ


  • 飼い主(私、62歳、女性)と愛犬(シーズー、12歳、雄)が同じ時期に結膜炎を患いました。私は目薬を一日に3~5回点眼するよう指示されて、犬は一日に少なくとも10~20回も点眼するよう指示されました。私の方が重症らしいのに、どうして犬の方が多く点眼しなければならないのですか?


    犬は人間に比べて、涙の分泌量が非常に多いといわれています。人間よりも地面に近い位置に眼がありますから、どうしても埃等が眼に入り易くて、それらを洗い流す為に、人間よりも大量の涙を必要とするのかもしれません。ですから、犬の目に一滴の薬剤を点眼しても、鼻涙管に異常がなければ 滞留する時間は約5分間で鼻へ流出してしまいます。つまり、一日に20回点眼しても、薬剤が眼で働く時間は、ほんの二時間足らず(5分×20回=100分)しかないと言う事です。人間と同様に3~5回点眼していても効果は殆ど期待できないでしょう。私は飼い主さんに頑張って頂く為に、「頑張って一回でも多く点眼して眼薬が早くなくなれば、病気も早く治りますよ。」と申し上げます。


  • 我が家の愛犬(マルチーズ、3才、避妊済み)は目の下に茶色の涙やけが出来て困っています。近所の病院で炎症を抑える目薬をもらって頑張ってさしていますが直りません。他に治療法はありませんか?


    「涙やけ」とは、涙の成分により、目の周囲の毛が変色する現象ですが、その原因としては幾つか考えられます。鼻筋の通っていない犬種(パグ、シーズー等)に多いのが,鼻涙管(眼から鼻へ涙を通す管)が閉塞若しくは狭窄しているケースで、犬は人間に比べて何倍もの涙が分泌されていますが、通常はスムーズに鼻へと抜けて問題は起きません。鼻涙管の通りが悪いと、眼から溢れて涙焼けになってしまうわけです。動物病院で,鼻涙管を広げて通りやすくする処置が出来ますが、割と短期間で再びつまり気味になる場合が多いのが実態です。次に、眼が割と大きくて突出している種類(チワワ、マルチーズ等)に多いのが、眼が大きいので潤いを保つ為に通常より多くの涙を分泌される為に、どうしても眼から溢れ易くて 涙焼けになってしまうケースです。他に細菌や物理的刺激(外傷やさかまつげ等)による炎症により涙の分泌量が増加して起こるケースがあります。この場合は、抗生物質や消炎剤を投与すれば炎症は治まりますし、さかまつげについては出来るだけ刺激になりにくいように処置すれば、ある程度の軽減が期待できます。以上の説明からお解かりになると思いますが、顔の構造から起き易い一つ目と二つ目の理由による涙やけは根本的な改善が残念ながら難しいようです。小まめに涙を拭ってあけるとか、美容的見地からは反するかもしれませんが、眼の周囲を短く刈り込む等の消極的な対策しかなさそうに思います。尚、涙焼けに有効なフード等が販売されていますが、その効果と根拠には疑問点が多いのでおすすめは致しません。
    (鼻涙管を通す処置については、殆ど再発しない技術も開発されているようですが、勉強不足で解り易い説明が出来ず申し訳ありません)


  • 仔猫を拾って育て始めました。鼻水やクシャミがひどかったので風邪薬を飲ませたら、徐々に治まり食欲も少し出てきましたが、目ヤニがひどくて、特に朝は目が自力では開けないほどです。どのように対処してあげたらよいですか?


    眼はとても重要であり 非常にデリケートな感覚器官ですから、以下の様な手順で 常に清潔に保たれています。角膜の表面は涙と粘液で出来た膜で覆われていて 瞬きをする度に新しい膜と交換される事により、常に清潔な状態を維持されます。古い膜には埃やゴミ、角膜や結膜の代謝物等即ち目ヤニの素が含まれており 通常は目頭に集められ涙点の穴から鼻へ送り出されて鼻くそになります。眠っている間は長時間 瞬きをしませんから、目ヤニの素が目頭の部分に貯まって乾燥して目ヤニとなります。ですから人間でも動物でも朝起きたときに目頭に少量の目やにがあっても、健康であり心配はありません。但し、目やにの量が増えて、特に朝起きたとき眼が開かない状態であれば、ウィルスや細菌による炎症が角膜、結膜、瞼などで起こっていますから、抗生物質や消炎剤を頻繁に点眼する必要があると思います。直ぐに動物病院で診察を受けて,適切な目薬を処方してもらい、頑張って点眼してください。点眼する回数が多いほど治療効果は大きくなりますから、ご家族で分担して早く直して上げましょう。