よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

愛犬との旅行


  • ゴールデンウィークに愛犬と四泊五日の予定で九州の実家へ帰省しますが、何か犬の為に特に準備や注意する事があれば教えてください?


    まず飼い主さんにとっても犬にとっても、余裕のある無理のない旅行のスケジュールを組みましょう。そして、余裕を持ってかかりつけの動物病院で健康診断を受けておきましょう。飼い主さんの気付いていない病気や怪我が見つかるかもしれませんから、もし見つかれば、勿論旅行の前に治療を済ませて安心して出かけましょう。
    もし狂犬病及び混合ワクチンを一年以内に接種されていなければ、良い機会ですから是非接種される事をおすすめします。繰り返し申し上げますが、旅先ではどの様な状況でどの様な犬と接触するかわかりませんから、予想外のトラブルに巻き込まれるかもしれませんし、体力や免疫力の低下により伝染病をもらう可能性は普段よりずっと高くなると予想されます。
    宿泊するのがご実家であれば、親戚の方に頼んでゴールデンウィーク中も緊急の場合対応してくれる動物病院を見つけてもらっておけば安心です。いざという時に探してもなかなか見つかりません。
    もしも、旅先で病院にかかる場合、初めての先生に診てもらうわけですから、犬の事を要領よく的確に知って貰う為に、犬の情報(種類、生年月日、性別、予防歴、手術歴、治療歴、特徴等)を予め紙に書いておいてみてもらえばスムーズに診察が始まるかもしれません。
    最後にもう一度申し上げますが、飼い主さんとの旅行は犬にとっても凄く楽しい出来事ですが、だからこそ犬にとっては精神的にも肉体的にも大きなストレスがかかります。ですから、くれぐれも余裕のある楽なスケジュールで旅行を楽しんでください。


  • 家族でよくキャンプに出かけるのですが、我家の愛犬は車酔いがひどくて、いつもお留守番です。何とか連れて行ってあげたいのですが、よい方法はありませんか?(市販されている酔い止め薬を試してみましたが効果はありませんでした)

    乗り物酔いは人間でお困りの方が少なからずいらっしゃるようですが、犬でも割と頻繁に相談を受けます。車の中は、狭くて密閉された空間ですし、特殊な匂いや音、振動等 他にない独特の気配が充満していますから、極端にデリケートな犬の場合 停車している車の中にいるだけでも五分位で嘔吐するケースもありました。対策としては、普段犬がいる場所を車中の気配に近づける事、車に慣れるトレーニングをする事、有効な酔い止め薬を用いる事、等があると思います。まず、普段犬がいる場所は室内であれ、玄関先であれ、庭であれ車中の雰囲気に近づけてみましょう。例えば、車に置いてある芳香剤を、使ってみましょう。そして、普段車で聞いている音楽やラジオの放送を出来るだけ多くの時間聞かせてみましょう。出来たら車を運転しているときに車中で聞こえるエンジン音やブレーキ音も録音して、流してみるのもいいかもしれません。普段から車中と似た匂いをかぎ、音楽や音と接していると 実際に車に乗った際の緊張感が和らぐでしょう。次に、徐々に実際に車に接して慣れていきましょう。最初は一日に一回 お散歩に出かける前にでも、車のドアを開けたままの状態で座席にでも乗せてみましょう。例えば運動靴の紐を結び直したりして、ある程度の時間車の座席に乗ることに慣れましょう。犬が降りたがったら直ぐに降ろしてあげてかまいません。毎日根気よく続けていれば、徐々に座席に乗ることに慣れてきますから、ある程度馴染んだら、飼い主さんも一緒に乗ってドアを閉めましょう。窓を開けておけば開放感がありますから、ドアが閉まってもそれ程抵抗はないでしょう。出来たらいつも聞かせている音楽を一曲位聞き終るまで車中に留まりましょう。犬が車に慣れるに従って、窓を閉める、続いてエンジンをかけてみる等少しずつ、車が走行している状態に近づけましょう。その状態で犬がある程度寛げるようになったら、車を少しずつ動かしてみましょう。徐々に走行時間と距離を延ばしていきましょう。車の座席に乗せてみる所から、早い子なら二ヶ月位で、遅い子でも半年位である程度の車に乗っても平気になると思います。トレーニングしても、効果の現れない子もいます。そういう場合には 残念ながら酔い止めのお薬を使うしかありません。人間の風邪薬と同様で、ペットショップ等に市販されている薬は効果が弱いので、動物病院で出来たら診察を受けた上で、体調や必要に応じて薬を貰って下さい。但し、精神安定剤の様なお薬ですから、頻繁に使用する事は出来ませんし お薬の効果にも個体差が大きいので、用法、用量など病院の指示に従って 慎重に投与してください。


  • 愛犬と泊まれるホテルをさがしたら、狂犬病ワクチンの接種済を条件とすると事、混合ワクチンの接種済を条件とする所、特にその様な条件のない所が見つかりました。うちの子は子犬のときに二回混合ワクチンを接種しましたが、その以外は何もしていません。どの様な条件のホテルが便利で安心でしょう?


    正直申し上げて私はペット同伴で旅行したり、宿泊した経験がありませんので、どのような条件の所が安心か利用客としての意見を申し上げる資格はありませんが、飼い主さんから そんな施設についての様々な情報が入ってきますので 獣医師としての経験と知識を合わせて 解かる範囲でお答えしたいと思います。
    愛犬と泊まれるホテルに限らず、ペットホテルや、愛犬と飼い主さんが一緒に遊べる施設等でも予防注射の接種済を条件としている場所は少なくありません。そこで、まず犬の予防注射の意味合いを もう一度考えてみましょう。狂犬病ワクチンは、犬から人間にも感染して 発病すれば100パーセント死亡する恐ろしい病気を予防する注射であり、接種する事が狂犬病予防法で飼い主さんに義務付けられています。義務を果たさないと、犬は拘留、処分されますし、飼い主さんには罰金が科される事が定められています。注射と同時に登録され鑑札が発行されますので、犬同士若しくは人間とのトラブルが発生したときにその重要性を痛感されるかもしれません。例えば 登録されていない犬が 登録されている犬に咬まれた場合、咬まれた犬は被害者であっても、登録されている犬の方が強い立場になりますから、治療費の請求は難しいでしょう。次に混合ワクチンですが、メーカーによって5~9種類の病気(ジステンパー、パルボウィルス感染症等)をまとめて予防する注射で、実際にかかる可能性のある病気を防ぐ為の、つまり人間と同じ意味の予防注射です。
    それでは、犬と飼い主さんが一緒に宿泊できる施設が なぜ予防注射について一定の条件を設定する場合が多いのか考えてみましょう。犬を預かる側の立場としてまず考える事は、犬を健康な状態で預かり、無事にそのまま飼い主さんに返す事です。宿泊施設内では、初対面の人間や犬達が接触する機会が少なからずあると思いますが、犬も人間同様に、或いは人間以上に興奮しているかもしれませんから、何らかのトラブルが起こる危険性は低くないと思います。万が一 何かの事故が起きたとしても、狂犬病ワクチン接種の必要性を理解している飼い主さんどうしであれば トラブルを最小限に食い止める事が出来るでしょう。人間もそうですが、犬にとっても旅行は、普段の生活とリズムも違うし 凄く刺激が多いので緊張状態が継続すると思います。飼い主さんと一緒に過ごせるので楽しくはあるけれど大きなストレスがかかり続けます。当然普段よりも体力や免疫力が低下しますから、伝染病にも罹り易くなるでしょう。ですから、普段以上に混合ワクチンによる免疫力の強化が重要になる訳です。
    以上の事から、犬を旅行に連れて行って一緒に宿泊して楽しい時間を過ごす為には、両方のワクチンをきちんと接種して出かけれることをおすすめします。そして宿泊施設としても、両方のワクチンの接種済みを条件とする所には、犬に対する責任感と病気に対する安心を重要視される飼い主さんとその飼い犬が集まる事が期待されますから、安心して宿泊できるのかもしれません。勿論その様な宿泊施設であろうと、どの様なトラブルが起こるか分かりませんから、慎重に行動される事が大事だと思います。最近はインターネットの掲示板などを利用して具体的な宿泊施設の名前をあげてアドバイスを求めると僅かの時間で かなりの数の体験談や他の施設の情報等が得られたりしますから、その様なサイトを利用してみるのも、情報収集には良いかもしれません。