よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

小鳥の飼い方


  • アパートで一人暮らしを始めますので、小鳥を飼いたいと思います。初めてですので どのような種類の鳥が飼い易いのか教えて下さい。


    鳥類は、約9000種類に分類されますが、その食性即ちどんな物を主食とするかによって、タカ等の肉食、モズ等の昆虫食、ハチドリ等の蜜食,そしてオウム、スズメの仲間等の種子食に分かれます。一般的にペットとしては、餌を入手し易い種子食のオウム、スズメの仲間が代表的ですので、その主な種類について、簡単に説明します。(種子食と言っても、勿論自然界では、機会に恵まれれば肉や昆虫、果肉や野菜も食べています)幾らかでも参考になるとは思いますが、後は御自分で小鳥達と対面して、気に入った種類を選ばれればよいと思います。

    <セキセイインコ> 体長20cm前後、体重30g前後
    乾燥した地域が原産なので、飲水量が少なく、水浴びなどもあまり好まない。色彩が豊富であり、ヒトの言葉は教えるとよく覚えます。寒さ等環境の変化にも強く、丈夫なので飼い易い種類だと思います。但し咬む力が強いのでなるべく大人しい性格の子を選びましょう。

    <ボタンインコ、コザクラインコ> 体長15cm前後、体重50g前後
    陽気な性格で賑やかだが、その鳴き声は金属的でかなり大きいので近所迷惑になる場合もあるかもしれません。ヒトの言葉を覚えるのは得意ではありません。神経質な面があり、他の種類の鳥に対して攻撃的であったりするので 同じケージで複数の種類を飼う場合はおすすめ出来ません。メスは発情時には、飼い主に対してもかなり攻撃的になり、咬まれると流血の覚悟が必要です。雌雄の判別が外観上難しい種類です。

    <オカメインコ> 体長35cm前後、体重90g前後
    冠羽を持ち、驚いたり怒ったりすると立てます。神経質な面もありますが、温和でヒトにも慣れ易く、他の種類とも仲良く出来るので、割と飼い易い種類です。但し、甘えん坊の子が多いので、例えばさし餌からなかなか卒業出来なくて苦労するかもしれません。言葉は少しだけ覚えます。

    <ブンチョウ> 体長14cm前後、体重25g前後
    好奇心が強くて、ヒトにも慣れやすい性格だが、気の荒い面もあるので、高密度で飼うと頻繁にケンカをする事が多いので要注意。餌を食い散らかす事が多いので、部屋が汚れるかもしれません。外観上性別の判断が難しい種類です。

    <ジュウシマツ> 体長12cm前後、15g前後
    性格は穏やかで明るいので、賑やかに水浴びを楽しむ。身体は小さいが丈夫であり、繁殖も割りと簡単なので、飼い易い種類です。

    <カナリア> 体長14cm前、体重20g前後
    警戒心が強くて、ヒトに慣れにくい種類です。色彩が豊かで、姿も美しく、鳴き声も魅力的ですが、寒さ等の環境の変化に弱いので、細心の注意が必要である。繁殖も易しくないので、初心者には飼育は難しいかもしれません。小鳥は高い体温(41~43度)を維持する為に、つねに食べ続けなければなりません。(24時間以上絶食すると エネルギー不足で命に関わります)ですから、毎日の水や餌の交換が欠かせませんし、寒い日には保温する等の心配りも必要です。そして、身体がとても小さいので環境の変化の影響を受けやすく、些細な事が命に関わる事も少なくありませんから、常に細かい観察と気配りが必要です。
    ですから、飼い主さんは それなりの勉強(例えば、餌の種類や与え方)と鳥篭等の環境を整える準備、そして数年に渡って毎日小まめに面倒を見る覚悟を持って小鳥を飼い始めて頂きたいと思います。
    犬のように毎日のお散歩の必要は無いし、猫のように爪とぎやマーキングによる被害の心配はありませんが、餌の食べ散らかしや換羽により部屋がそれなりに汚れるでしょうし、数が多いと「鳴き声でご近所から苦情が来るかもしれない」位の事は想定しておきましょう。

  • 小鳥の世話をするときの小さな疑問をお寄せ頂きましたので、まとめてお答えしておきます。

    (1)殻つきの餌とムキ餌のどちらを与えるべきでしょう?
    (2)餌を数日分まとめて与えてもかまいませんか?
    (3)ヒトの食べ物を与えても良いですか?
    (4)小鳥には胃が三つあると聞きましたが本当ですか?
    (5)冬は寒そうなので、お湯で水浴びをさせてもよいですか?
    (6)小鳥は寒さに弱いので保温することはよく言われますが、暑さに対してはあまり注意する必要はありませんか?
    (7)手乗りにして飼う場合は、羽根を切った方がよいですか?

    (1)
    殻つきの餌を与えられる事をおすすめします。理由は、殻をむいて食べる行為が鳥の自然の中で食事に近い行為ですし、ある意味 暇を持て余している鳥にとって殻を剥く行為はストレスの発散になるかもしれません。勿論、殻を剥いた直後の方が新鮮でビタミン、ミネラル等の栄養価も高い(例えば、玄米と白米の違い)事もあります。但し、掃除の手間はふえますし、殻だけが餌入れにたくさんあって まだ餌を補充する必要がないと勘違いしてしまう心配があります。ですから、餌と水の交換は必ず毎日行い、餌入れにいれる餌の分量は一日分+アルファにしましょう。
    (2)
    (1)でお答えしたように原則として餌と水は毎日交換し、出来れば籠(ケージ)の掃除も毎日してあげましょう。数日分をまとめて餌入れに入れると、混合飼料の場合 鳥にもある程度好き嫌いがありますから、自分の好みの種子ばかりを先に食べて嫌いな種子が残り、摂取する栄養のバランスが悪くなる可能性があります。毎日餌の交換をすれば食欲の増減が直ぐに分かりますし、毎日掃除をしていれば、便の状態や回数等の異常にも早目に気付いてあげられます。(同一ケージで複数を飼育していれば正確には分かり難いかもしれないけれど、毎日注意深く面倒をみていれば、段々早目に気付いてあげられるようになるみたいです)小鳥は、身体の異常が解かりづらいし、何らかの症状が現われた時には命に関わる場合が少なくありませんから、普段の面倒をみる中で細かな異変、食欲や便の異常に出来るだけ早く気付いてあげて、対処してほしいです。
    (3)
    一昔前の「小鳥の飼い方」的な本には小鳥にヒトの食べ物を与える事はそれ程悪い行為ではないような表現もあったように思いますが、最近ではヒトの食べ物を与えるとそのうの中で腐敗して、「そのう炎」を起こす原因になるので一般的に与えないように指導されていると思います。犬猫でも同様に、ヒトの食べ物は明らかに健康に有害ですから 与えないように飼い主さんにお願いしていますが、一旦その習慣が身につくとなかなか止めるのは難しのが現実です。飼い主さんはよく「欲しがるのでついつい与えてしまう」と言い訳をされますが、与えなければ欲しがりもしなかったはず、と言う事に早く気付いていただき、犬猫で約十五年、小鳥は数年と言われる短い寿命ですから,健康によくない習慣はなるべく早く止めて少しでも長生きしてもらいましょう。
    <そのう炎>
    小鳥には、食道が変化してできた「そのう」と言う器官があります。食べ物を一旦溜め込んだり、雛に与える「そのうミルク」を作る場所です。そこで細菌や真菌が感染したり、トリコモナスという原虫が寄生したり、食べ物が腐敗したりして炎症を起こす病気を「そのう炎」といいます。症状としては、飲水量がふえて嘔吐やあくび、軟便等がみられます。治療は、そのう検査により原因を確認して、それに応じた治療を行いますが、この検査は体力の落ちている小鳥にとっては大きなストレスになりますので実施せず抗生剤の投与から治療をスタートする場合もあります。
    (4)
    小鳥には(3)で説明した「そのう」と腺胃、筋胃の部分がありますから、それを三つの胃と称する事もあるようです。腺胃とは、胃液を分泌する胃つまり人間の胃と同じ働きをする場所です。筋胃とは歯を持たない鳥が、食べ物をすり潰すために中に砂粒を溜め込んだ胃です。塩土(えんど)や焼砂を与えるのはこの筋胃に砂をためる為です。
    (5)
    小鳥の羽に水をはじき 身体を守る為の油分やホルモンが分泌されていますが、お湯を浴びてしまうと洗い流されてしまいますから、返って水分が身体にしみ込んで風邪をひいたりし易くなります。ですから、水浴びにお湯を用いる事は厳禁です。
    (6)
    小鳥の飼育についての本やホームページをみると確かに 必ずと言っていいほど冬の寒さに対して「夜は籠に布をかけましょう」とか「暖房器具で28~30度に保温しましょう」と書いてあります。(籠に布をかけるのは、小鳥を落ち着かせる為でもあります)ところが、夏の暑さに対しては殆ど触れられていないようです。しかし、亜熱帯化が進行している日本では、風通しの悪い部屋なら直射日光があたらなくても室温が30度を大幅に上回る事は珍しくないようです。そして、体重が人間の千分の一以下の小鳥達が人間より簡単に熱中症にかかり、その少なからずが命を落としている事を御存知の方が意外に少ないようです。人間がいれば、鳥にとっても丁度いい室温が自然に保たれていると思いますが、留守にされる時にはくれぐれも室温の変化に注意してあげてください。
    (7)
    やはり一昔前の小鳥の飼い方としては、手乗りにする場合、例えば家の中で飛び回って壁に激突したり、換気扇に吸い込まれたり、窓から飛び出して迷子になる事故を未然に防ぐ為に風切り羽根を切ることをすすめていたようです。ところが現在は、籠の中での落下事故を防ぐ為に羽根を切らないよう指導されているみたいです。羽根を切るメリットとデメリットのどちらにも正当性がありそうで、正直申し上げて私はどちらが正しいか判りません。飼い主さんが小鳥を飼われる環境について熟慮された上で納得してどちらかを選択されれば良いのではないでしょうか。