よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

ペットロス


  • 初めての一人暮らしで寂しいので、ペットを飼い始めようと思うのですが、子供の頃にお祭りの夜店から兄が持ち帰ったヒヨコの世話して、ほんの数週間で死なせてしまった時の悲しい思い出があり、なかなか思い切れません。どの様な気持ちでペットを飼い始めたらよいでしょう?


    ペットを飼い始める前の段階でのご相談は、珍しいケースです。一般の方がペットを飼う事を検討される場合、まずは家族 場合によっては親しい友人に相談し、ある程度前向きに話が進めば、次いでペットショップやブリーダーの方たちに相談されます。そして、飼い始めたペットの予防注射や健康診断、若しくは病気になったり怪我をした際に 動物病院へ来院されます。ごく自然な事の運びと思われるかもしれませんが、ペットを飼い始める前の段階で獣医師に相談される事を 私としては是非おすすめ致します。理由は、ご家族や友人はペットに関して専門的な知識を持っておられないでしょうし、ペットショップやブリーダーの方に相談されると 動物を飼う事を前提にしてお答えになるのではないかと思います。ペットを売る事で利益を得られるわけですから当然かもしれません。ところが私を含めて獣医師なら、ご相談頂いた方がペットを飼い始められる事に当面の利害関係はありませんから、客観的にお答えできますから、ひょっとするとペットを飼う事をおすすめしないかもしれません。この質問を頂いた方とは、2~3回メールのやり取りをしただけで面識もありませんから、あまり断定的なことは申し上げられませんが、仕事の関係で関西に来られて、生まれて初めての一人暮らしを始められたばかりだそうです。子供の頃のヒヨコを世話して死なせた思い出がある為 これまでに一度もペットを飼った経験がないそうです。現時点では関西に友人、知人は殆どいなくて寂しいので、住居の関係で可能な小鳥若しくはハムスターなどの小動物を飼ってみたら癒されるのではないかと 思われているそうです。私の率直な意見としては、まず仕事や職場の人間関係、そして一人暮らしの生活に慣れる事に努力をされて ある程度落ち着かれてから、ペットを飼うか否かについて もう一度考えられた方が懸命ではないかと思います。仕事に慣れ、職場に馴染み、生活が落ち着く頃には、仕事仲間や 趣味などを通じて友人、ひょっとしたら恋人なんかが出来ているかもしれません。そうなると、ある意味で非常に自由で気楽な一人暮らしが楽しくなり 寂しさなど感じている暇もなくなっているかもしれません。ペットを飼う事は、一緒に遊んでいるときは楽しく気持ちを癒してくれますが、例え小さくても生き物の生命を預かる訳ですから、毎日餌を与えたり掃除をしたり、病気や怪我をすれば病院へ連れて行き必要に応じて看護もしなければならないかもしれません。小さくても動物の面倒をきちんとみるのは、結構面倒で手間暇や金銭がかかります。 数週間面倒をみたヒヨコの死を覚えておらるような優しい気持ちの方ですから、ペットを飼い始めたらきちんと飼い主としての責任をまっとうされる方だと思いますが、仕事やプライベートの面で充実してくると かえって負担になってしまうかもしれません。そして予め知っておいて頂きないのは、小動物の寿命が短かれば一年長くとも数年ですから、常識的には必ずそのペットの死を覚悟しておかなければならない事です。以上の事から、要約すると現在の生活に馴染まれた上で、手間暇がかかることや 飼い始めたらほぼ確実に死を迎える事までの覚悟が出来てから、また相談して頂きたい、という事です。現実にペットを飼う事を決意されたら、どの様な動物が飼い易いかを説明しますので再度連絡を下さい。


  • 私は子供の頃から何代も犬を飼ってきましたが、みんな十数年の寿命を全うして死を迎えましたので「自分だって寿命の尽きる日を迎えるのだ」と、気持ちを切り替えて前向きに受け止めて来れました。ところが先月まだ8ヶ月の子を、散歩中の交通事故で亡くしました。突然の無惨な形での愛犬との別離に心の整理がうまくつけられず、自分の健康や仕事にまで影響が出始めました。周囲の人に相談しましたが「たかがペットの事で」と理解を得られず更に落ち込んでしまいました。何らかの対処法を御存知なら教えて下さい?


    今回のご相談は 「ペットとの突然で辛い形での永遠の別離による飼い主さん、即ち人間の気持ちの問題」ですから、それを専門とされる先生の診察を受け、治療を始められる事が一番だと思いますし、インターネットを活用すれば ペットロス専門のカウンセラーは簡単に見つかるでしょうから そちらに相談されるのもよい方法かもしれません。また、ペットロス関連の掲示板等をのぞいてみられれば 同じ様な心の痛みを持つ人達との交流等が出来るでしょうから、元気を出す方法が見つかるかもしれません。
    私は、獣医師ですから、今回のご質問にお答えするのは、畑違いだと十分わきまえているつもりですが、仕事柄ペットを亡くした飼い主さんと接する機会は少なからずありますので、飼い主さんとは異なる視点から感じたり考えたりした事を幾らか述べさせていただきたいと思います。もし、相談頂いた方がお元気になられるのに ほんの少しでもお役に立てば幸いです。
    「ペットロス」という言葉はインターネットで検索しても相当数ヒットしますから、私の想像以上に認知されているのかもしれませんが、解かり易い言葉で表現すれば「愛玩動物との別離により飼い主さんが受けるダメージ」と言うような意味合いで使われているのではないでしょうか。言葉としては新しいけれど、犬は数千年前から人間と生活を共にしてきた動物ですから、様々な形で人間と関わりあってきましたし、別離も繰り返してきました。少し前までは、ペットは愛玩動物と呼ばれて、飼い主が可愛がり一緒に遊んだりする事で、互いに癒し癒される存在だった様に思いますが、何時の間にかコンパニオンアニマル(伴侶動物)と称され 家族同様の存在へと変化してきましたから、ペットを失った飼い主さんの悲しみは家族を失ったも同然で 深く大きなものとなりました。 同居する家族がいれば 互いに慰めあい励まし合えるでしょうが、ご質問頂いた方は一人暮らしなので寂しさや辛さの全てを一人で受け止めておられるようです。特に今回の愛犬は、まだ若かったし突然の別離だったので自分を納得させるような受け止め方が難しいのは解かりますが、ここで思い切って発想を転換してみましょう。
    もし一緒に過ごした時間がもっと長ければ楽しい思い出などもふえるでしょうが いずれ死を迎えたときの悲しみは更に大きかったかもしれません。「現在よりもっと辛い状況に陥ったかもしれない」と考えたら、現状が最悪の事態ではない事に気付いて頂けると思います。それに、愛犬と過ごされた時間は短かったかもしれませんが、今すごく悲しいのはその僅かの時間で すごくたくさんの愛情を注がれて その犬が愛情に十分に答えてくれたからではありませんか。世の中を見渡せば、愛情を注がれないどころか 虐待を受けて死んでいく犬も少なくありませんし、動物実験に用いられる犬は 最初から愛情を受ける可能性もなく生まれてきて 死んでいきます。ほんの短い間でも十分な愛情を受け精一杯生きられた犬は、勿論もっと長生きできれば更に幸福だと思いますが、決して不幸な犬だと私は思いません。散歩中に交通事故に遭われた訳ですが、もし飼い主さんと犬の位置関係は逆であれば飼い主さんが事故により被害を受けておられたかもしれません。だとしたら、自分の身代わりになってくれたのかもしれない犬の為にも、早く元気になられる事が一番の供養ではないでしょうか。とにかく気持ちを切り替えて日々の生活と仕事に打ち込まれる事で安心して成仏させてあげましょう。

    以上、第三者的立場からの無責任な意見です。全くお役に立たなかったとしたら申し訳ありません。
    人間がある程度の年齢になれば 家族や親戚、心許しあえる親友や尊敬する先輩、先生等を死によって失う寂しさや辛さを経験をするでしょうから、他人の同様な悲しみをある程度は理解し思いやる事もできるでしょう。ところが、家族同様の存在だったペットを失う経験をされる方は残念ながらそれ程多くはありません。犬を大好きな方は世の中にたくさんいらっしゃいますが、同様に犬の大嫌いな方もたくさんいらっしゃいますから、周囲の人が犬を亡くした悲しみを理解されなくても、それは当然であり 仕方のない事だと思います。愛犬の死の悲しみは理解してもらえなくても、相談にのって貰える人が周囲にいるだけでも幸福である事に早く気付いて元気を出してください。