よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

ペットのサプリメント


  • 家の老犬(柴犬、避妊済みの雌、16歳)は以前から白内障や歩行障害を起こしていましたが、最近は夜鳴きや徘徊が始まりました。かかりつけの病院では「ボケは老化現象だから治療法がありません。安楽死を希望されるなら対応します。」と言われました。近所迷惑ですし、とても可哀想ですが安楽死等考えたくもありません。何か対処法はありませんか?


    「安楽死」については、万策が尽きた後の選択肢ではあるかも知れませんが、現時点で飼い主さんが考えたくないのは当然だと思います。
    さて、ご相談の件ですが、まず飼い主さんがその犬との対話の時間を出来るだけ取って下さい。出来る範囲で結構ですから、犬に話しかけ犬の対応に反応してあげましょう。犬がボケるのは自分だけの世界に閉じこもってしまう為に時間や場所の感覚が現実とずれてしまい起こります。ですから、可能な限り飼い主さんと心の交流が出来る時間を多く持てば、現実の世界に戻ってきてくれると思います。更に散歩に出かけられると外部の世界の刺激がよい作用をもたらすでしょう。歩行障害があるのなら自転車の籠や乳母車等に乗せるのはどうでしょうか?どうしても嫌がるなら仕方がありませんが、結構機嫌よく運動の為ではなくて気分転換の為の散歩に出かける犬はいますよ。
    それから、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を主成分とするサプリメントを試してみられるといいと思います。当院でも十数匹に投与して約半数の犬でボケの症状の改善が認められました。
    犬との対話、気分転換の散歩、サプリメントを紹介しましたが、何れも直ぐに目に見える効果が期待できるわけではありません。出来る範囲で結構ですから数週間から数ヶ月続けられればきっと何らかの効果が現われると思います。
    勿論年齢を考慮すればあと数ヶ月寿命が続く保障もありませんが、もしボケに対する対策の途中で効果のあがる前に寿命が尽きたとしてもその犬にとっては何もしてもらえずに放置されるもしくは安楽死されるよりは、最後まで充実した幸福な人生だったと考えてあげていいのではないでしょうか。


  • ペットショップでゴールデンの子犬(生後二ヶ月のメス)を購入しましたが、ドッグフードと一緒に「成長期の子犬には必要だから」とサプリメント(カルシウムが主成分)を渡されました。健康な子犬に サプリメントなど必要なのでしょうか?


    犬の肉体は生後およそ6ヶ月で大人になりますから、成長期と言えるのは、ほんの3~4ヶ月位で、人間に比べるとすごく短く感じられると思います。だから、その時期には「骨格が十分に成長する為には たくさんのカルシウムが必要だろう」とか「カルシウムが不足して十分に成長出来なかったら可哀想だ」等と心配されると思います。確かに、成長期には大人になってからに比べると多くのカルシウムを必要とします。しかし、犬の健康な成長を考えて作られたドッグフードであれば、必要十分量のミネラルが含まれていますから、更にカルシウムや鉄分などを補う必要はありません。一般的に人間の場合、何かの栄養素が不足して問題が起こるケースが多いのですが、犬の場合むしろ過剰症に注意するべき場合の方がの多いように思います。成長期の犬(特に大型犬)に高カルシウム高カロリーの食事を与えると急激な成長による体重増加に対して膝などの関節が対応できない為に、関節の軟骨部分に損傷を受けたり 圧迫による血流障害の為に骨の成長に支障が起こったりし易いのです。ですから、その犬が健康であれば その体格に適したフードを選び(幼犬用フードのなかでも大型犬なら大型犬用を選ぶ)、適切な給餌(量と回数)をされれば、カルシウム等のサプリメントは、むしろ与えない方がよいと思います。勿論、何かの病気であればそれに応じた薬剤やサプリメントを必要とする場合もあるかもしれませんから、近所の病院で健康診断を受けることをおすすめします。わざわざ出かけなくても 初めてのワクチンをうける時に、丁寧に診察してもらえればそれで十分でしょう。


  • 我が家の愛犬(雑種、10歳、メス、避妊済み)が最近、股関節の痛みで、殆ど歩けなくなりました。かかりつけの病院から、関節の痛みを和らげるサプリメントを薦められましたが、効果がありますか?


    最近よく耳にするようになった、「サプリメント」と言う言葉の意味をまずきちんと理解しましょう。解り易い言葉にすると「栄養補助食品」で、普段の食事で不足しがちな栄養素を補う目的で作られます。
    薬は、病気を治す目的で作られ、使用されるものですから、根本的に異なるものです。ところが薬とサプリメントを混同して、「Aという病気にはBというサプリメントが効く」等という表現を時々見かけますが、間違ってると思います。勿論、サプリメントが病気に対して何の影響力も持たないわけではありません。何かの栄養素の不足によって、自己免疫力や自然治癒力が低下したりすると、例えば病気に罹り易くなったり 回復が遅れたりしますから、サプリメントによって病気に罹り難くなったり、症状が軽減したり、回復が早まったりする事はあると思います。
    ただ、薬の場合は、厳密な基礎実験や臨床試験を経て、その効果や副作用について十分に検証された上で厚生労働省が認証しますが、サプリメントの場合それなりの十分な実験や試験を実施するでしょうが、公的な機関がその効果や安全性等について認証しているわけではありませから、その効果については少なからず個体差、バラツキがあると思って試してみましょう。(無論、薬でもその効果には個体差があります)
    さて、ご質問の関節痛は高齢期を迎えた犬にはたいして珍しくない病気でありますが「歩けなくなる」=「寝たきりになる」と、人間も同様ですが生きていく上での楽しみの大半を無くしてしまいますから、サプリメントによって改善の可能性があるのなら是非試してみるべきだと思います。恐らく、グルコサミンやコンドロイチン等を主成分とするものでしょうから、当院でもこれまでに数十匹の犬に投与して 炎症を抑え運動機能を改善する少なからぬ犬でその効果が確認されています。但し、サプリメントの効果の判定は微妙で難しいので 勝手に自分で下さずに、先生の指示に従って用法用量を守って、頑張って継続してください。良い結果が得られる事を期待しています。