よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

ダニについて


  • 今日、散歩の後犬の唇ににダニが寄生しているのを見つけましたが 本人は痛がりも痒がりもしていないようです。どうしてあげればよいでしょう?


    これからの季節は、散歩に行くと草むら等にダニが待ち構えていて 主に体の前面に寄生する事は珍しくありません。ノミに比べて、吸血時に強烈な痒みは伴いませんが、大きな顎で一箇所にしっかりと喰らいつきますから 犬はそれなりの痛みを感じている場合も多いと思います。
    産卵に十分な吸血を終えるとダニは犬の体から自然に放れますから、産卵を繰り返して増殖し 強烈な痒みやアレルギー性皮膚炎、サナダムシ等をもたらすノミに比べて 犬にそれほど迷惑な存在ではないように認識されている方も多いようです。
    しかし、ダニは犬にバベシア症と言う恐ろしい病気をもたらす場合があります。バベシアとは、ダニの吸血時に犬の血液内に侵入する原虫で 赤血球内に住みつきその赤血球を次々に破壊しながら増殖していきますから、寄生された犬は貧血を起こして体力を低下させていきます。治療に少なくとも数ヶ月を要し、なかなか完治しにくい厄介な病気のひとつです。(ダニを媒介とする病気としては 他にヘバトゾーン症やライム病もありますが 別の機会に説明します)
    ですから、ダニが寄生していることに気付かれたら 速やかに除去してあげましょう。ピンセット等で体全体をはさんで小さく揺らしながら 顎が残らないように注意して引き剥がしましょう。
    予防的には、ノミ、ダニ駆除剤を予め投与する方法があり、当院でも必要に応じてお渡ししておりますが、正直に申し上げて、ノミに対しては非常に効果的であっても、ダニに対しては?がつく場合が多いように思います。ダニが犬に寄生して吸血するまでの短時間で殺ダニ効果が期待できる薬剤が今年から新発売されましたが、その効果と副作用について不明の点も多いので、現在の所あまりおすすめしていません。
    従って、現在の所、ダニ対策としては、飼い主さんの経験から判断していただいて ダニに寄生されやすい場所へは近づかないように注意し、散歩から帰ったら顔面や胸等ダニが寄生しやすい部分を飼い主さんが手で確認してあげて、もし見つけたら速やかに除去する と言う消極的な方法が結局一番効果的であるように思われます。


  • 柴犬(生後4ヶ月、メス)が 近所の病院でニキビダニ症と診断され、「治療は費用が高額で一生続く」と言う理由で「安楽死」をすすめられました。何か他に方法は無いのでしょうか?


    まだ若い年令でいきなり安楽死をすすめられては、さぞびっくりされたことと思います。以前は、そういうケースもあったそうですが、現在では当院でも数匹、全国では多数の犬がこの病気と戦っています。但し、このダニは本来皮膚に常在しており犬の体質や免疫力の低下等によって痒みなどの症状が現われる病気ですから、この戦いは ダニを完全に駆逐しての完治ではなくて、この病気と上手にお付き合いして うまくコントロールし 少しでも快適な生活を目標とします。
    治療費については、その犬の症状や健康状態による違いもありますが、病院によってかなり差があるようなので十分に事前確認をされた上で納得して始められればよいと思います。
    具体的な治療は、ダニの減少を目的とする駆除剤の投与(内服、注射、皮膚への塗布、薬浴)と 二次感染と痒みの軽減を目的とする抗生剤と消炎剤の投与が主となりますが、本人への負担と飼い主さんの手間隙も相当長期にわたることを覚悟して始めてください。
    ペットも家族同様に寿命を全うする権利を持って生まれていると思いますから、飼い主さんのご苦労は一方ならぬ物と思いますが是非頑張ってください。


  • うちの猫は 毎年これからの季節 ノミやダニに寄生されて 飼い主も被害を受けています。市販されているノミ、ダニ駆除剤を色々試してみましたが、あまり効果があるようには思えません。どうすればよいでしょう?

    ノミとダニはよく並び称されますから、よく似た寄生虫だと思われがちですが、ノミは昆虫即ちカブトムシや蝶の仲間であるのに対して、ダニはクモやサソリの仲間ですから、身体の構造が全く異なりますし、ライフサイクルも違います。ですから、同時期に(梅雨時から夏場を中心に)同じ場所(犬や猫の皮膚)に寄生するからと言って、一つの薬剤でノミとダニを同様に駆除できる効果を期待しない方が賢明です。
    ノミについてはほぼ100パーセントの駆除効果が得られる薬剤が、殆どの動物病院で簡単に購入できますからお試しください。ダニについては、外出を制限して寄生を未然に防ぐことと寄生を確認したら速やかに除去することが一番効果的だと思います。尚、元々家の中にいるダニが猫に被害を与えることは現実的に殆どないと思います。尚、市販されている駆除剤については、それなりに成分や効果を勉強しなければとおもっておりましたが、「安かったから一度使ってみたけど全然きかへんかったわ」と言う当院の患者さんの言葉を聞いてから ほったらかしになってしまいました。


  • 5歳の雑種犬が一年位前から手足の先端や顔 特に目と耳の周囲にかさぶたが出来て非常に痒がり 舐めたり噛んだり掻き毟ったりして、脱毛が始まりどんどん広がっています。近所の動物病院で半年ほど前に診てもらって 塗り薬と飲み薬を使っていますが あまり効果は無いように思います。何か対処法はありませんか?


    かさぶたが出来て非常に痒がり脱毛が広がっていること、その部位が四肢端や目耳の周囲から始まっている事から推察すると、疥癬ダニによる皮膚炎が疑われます。患部の皮膚を少し削り取って顕微鏡でそのダニを確認できれば確定診断できると思います。もし、疥癬症であればダニを殺す薬剤の定期的投与と皮膚の状態を改善するための抗生剤や消炎剤の内服により約一ヶ月で治癒する場合が多いと思います。ですから、病院で皮膚のかきとり検査を受けられる事をおすすめします。